塩田 将大 Aiki Peace Seeker -合気道家-

★塩田剛三の孫が伝える【心】を豊かにする合気道★

合気道と子ども‼なんで子どもに合気道は良いの?

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合気道と子ども




私の道場は子どもと親子が多いです。

 

人数が多くなったので、

子どもは

①幼児(未就学児)

②小学校低学年

③小学校高学年

でクラスが分かれています。

 

子どもを教えるとなると、

指導者は子ども好きでないと、

なかなか難しいと思います。

 

武道ならではの厳しさ、精神性を伝えるのは、

子どもに対する愛情がないと、

辛いことになってしまいます。

 

幸いなことに、私は無類の子ども好きです。

母親が子ども好きなので遺伝したのかな?

 

中学生を含め、みんな可愛いし、

毎日元気をもらっています。

 

今回は、私が子どもたちに

・合気道を通して、子どもたちに何を身に付けて欲しいか

・どういう稽古をしているか

お話ししたいと思います。

※大人の稽古とは異なります。

 

子どもに身に付けて欲しいことは

合気道を通じて、

①瞬発性を鍛えてほしい

②体幹を鍛えてほしい

③けがをしない身体を作ってほしい

④素直さをもってほしい

⑤礼儀・思いやりをもってほしい

⑥徳を増やしてほしい

⑦限界を自分で決めつけないでほしい 

ということですね。

 

①~③は、肉体的な部分

④~⑦は、精神的な部分になります。

 

4歳以下に対しては、左・右間違えようが、何も注意しません。

見てしっかり真似しますから、

間違っても褒めまくりますね。

 

子どもも大人も生徒の名前は、

必ず覚えています。

これは常識ですね。

合気道はコミュニケーション能力がつくというお話を

以前しましたが、

名前を覚えることは大前提中の大前提。

 

名前を覚えなくては、

コミュニケーションなんて出来るはずがない。

 

 

道場の生徒さんは東陽町の道場だけで、

100人以上いますが、全員の名前を憶えています。

たまに、覚えにくい名前の人が入ってきても、

稽古をする前に何度もその人の名前を書いて覚えるようにしています。

 

合気道を子どもにどのように教えているか、

お話ししたいと思います。

 

①瞬発性を鍛える

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子どもは同じメニューをしていると飽きてしまうので、

毎回違う内容で行っています。

 

私の道場は週5回子どものクラスがありますが、

月謝は一律で、週1回でも週5回でも値段は変わりません。

 

週5回稽古にくる子もいるので、

毎回メニューを変えます。

 

ブログを読んでいる方は指導者の方もいると思うので、

ぜひ、参考にしていただけたら嬉しいです。

 

・バーピージャンプ

・前後にジャンプ・左右にジャンプ

・受け身

・仰向けになって目をつむって、先生が手をたたいたら、瞬時に起き上がる

・スクワット走り込み

・もも上げ

・反復横跳び

などなど

 

ここでは詳しくどうやっているか述べませんが、

早く動くように出来るために、

瞬発性を鍛えるトレーニングを、

稽古の始めに行っています。

 

バーピージャンプはこのようなもの。

動画を見ていただくと、どれだけ大変か

お判りいただけるでしょうが、

子どもたちは、これを100回以上こなすこともあります。

 

子どもの体力は、大人が思っている以上に

あるんですよ(^^♪

 



 

②体幹を鍛えてほしい

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筋力トレーニングを行うこともありますが、

それよりも体幹トレーニングを重要視しています。

 

子どもは、いろいろなスポーツを

学校でも習い事でもしています。

合気道を1番に思ってくれれば理想ですが、

精神性より、戦いや競い合いの方が好きな子が多いですからね。

合気道はもちろん

どのスポーツ競技でも体幹は必要になってきます。

また、今のこどもたちは身体は昔の子より大きいですが、

身体が大きいのに、それを支える体幹はありません。

 

そこで、体幹を鍛えるために、

・手押し車

・ほふく前進

・プランク(いろいろなバージョン)

・逆立ちキープ

 

いろいとバリエーションを増やして行っています。

プランクはこのようなもの。

 

動画と同じくらい、

3分をこなしています。

 



 

③けがをしない身体を作ってほしい

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幼児・小学生は自分の身体を支える体幹も筋力もありませんし、

頭が重く、転がるとよく頭を打ってしまいます。

 

そこで、頭を打たないために、

また上手に転べるように、

受け身は大人以上に回数をこなします。

 

・後方受け身

・前方回転受け身

・後方回転受け身

 

※3歳から小学校低学年の子

 

受け身は、すればするほどよくなります。

身体の使い方が分かって、

腹筋や起き上がる際に足の筋肉を極力使わなくなり、

上手く遠心力を使って起き上がるようになります。

 

子どもたちはこれを100回以上こなしてます。

 

④素直さをもってほしい

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合気道で1番必要なこと・素直さ。

 

合気道は難しいので、

あまり出来た!と感じることは、

スポーツに比べて少ないと思います。

 

武道は達成感が得にくいんですよ。

ただ、子どもは達成感を感じないと、

なかなか続けられないので、

技の評価をして、

点数付けをすることがあります。

 

子どもは技の形を覚えただけで、

技が出来たと勘違いします。

 

「その技もう知っています」と。

 

技を知ってる!とか、

学校で習ったから知ってる!とか、

言っている子は、そこからの伸びが少ないんですよね!

 

あと、この先生はこう言ってた!とか言って、

別の先生が言うことを素直に受け入れない子。

 

こういう子たちには、

「自分は出来てると思ってけど、

本当は出来ていなかったんだ」と、

本人が気づくように導くことが、

指導者の務めだと思っています。

 

 

⑤礼儀・思いやりをもってほしい

 

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「合気道は礼儀や思いやりをもつこと」というのは、

日ごろから稽古中に口酸っぱくいっています。

もちろん、子どもたちは、

1回聞いても10回聞いても

あまり理解していないです。

 

私「からだの大きな人に、力強く持たれたら、

力で動かそうとしても動かないですよね?

それならどうしたら、相手を動かすことが出来ると思いますか?

それは、≪相手を敬い思いやることなんです≫」

 

って言われても、大人でも分からないですよね(笑)

でも、大人のクラスでは、

茶帯くらいになると、

今技が出来なかったのは、相手を敬っていなかったからだ

思いやらなかったからだ、

とみんな思えるようになっています。

自分主体になる合気道は合気道ではないですし、

相手がいるからこそ合気道は成り立つんです。

 

子どもたちも、もっと相手のことを考えなくては

と思って合気道に取り組めば、上手になるし、

生きていく上で、その思いやりが役に立っていくと思います。

 

1番最初に行う正座法・礼法に関しても、

思いやりを発揮することが出来ます。

いろいろな相手と向かい合い、

相手をしっかり見て、

正座をし、礼をする。

正座・礼は向かい合う相手と同じタイミングで

行わなくてはいけません。

 

そうすると、相手が誰であろうと

タイミングを合わせようとして、

相手のことを考える、

つまり思いやりが生まれるんですよね。

技も全て形だから、

仕手(技を掛けるほう)だけ出来ていてもダメで、

受けもできないといけない。

そのため、自分だけ出来ていても合気道はできないんです。

そうやって、自分よがりになりがちな子どもたちが、

相手を考える思いやりを

持てるようになると思っています。

 

礼に関しても同じ、

相手と向かいあった時には、

相手とタイミングを合わせて行います。

 

⑤徳を増やしてほしい

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以前のブログで合気道が上達するには、

徳を増やすこと。というお話をしました。

 

 

子どもで合気道の達人になる子はいません。

 

しかし、合気道を教えている以上、

合気道の上達に必要なことは、

すべて行い、少しでも達人に近づくよう、

切磋琢磨していくことが大事だと思います。

 

徳を増やすことは稽古でどういうことをするかというと、

礼をする、掃除を徹底させること。

 

礼をすることで、相手を敬う。

掃除をすることで、次使う人のためを思う。

 

誰かにとって、良いと思うことをすると、

徳が増えてきます。

 

相手にとって良いと思うことを、

道場だけでなく家でもしてほしいと思っています。

 

⑦限界を自分で決めつけないでほしい 

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あー疲れた。体だるい。とか、

稽古をする前から言っている子がよくいます。

 

そういう子は、稽古で大変なことを行うと

すぐにあきらめちゃいますよね。

 

ちなみに、さっき述べた

バーピージャンプとか、

後方受け身って、

子どもたちはどのくらいか書きましたよね。

 

大人ではできない数を、子どもたちはこなしています。

疲れたでしょ!もう、その辺で大丈夫だよ?

っていうのは大人の判断。

 

子どもは大人が思っている以上、

出来ます。

 

大分、厳しいことを行って、

疲れたーって、道場に寝っ転がっても、

5分後には何事もなかったかのように、

遊びまわっています(笑) 

 

もちろん、ついてこれない子もいますが、

それはそれで良いのです。

昨日の自分に比べて、今の自分が勝っているのなら、

回数をこなせなくても良い。

 

とりあえず、出来るだけこなし、

自分の限界を越える稽古を

20代までは行ってほしいと思っています。

 

子どもたちに、下記のような

私が経験した話を伝えると、

みんな納得してくれます。

 

’(専修生の時の話)

私が専修生という合気道の訓練生を行っていた時、

25名いました。

 

 

*1

 

 

1人10回ずつ声を出し、

後方受け身をするように

先生が言いました。

 

つまり、10回×25を行えというのです。

 

屈強な警視庁と、海外の元軍人を含む専修生でも

さすがに250回は厳しいです。

 

200回あたりでは、みんな息切れして、

倒れそうになりながらも、あと50回と思い、

必死にくらいついていました。

 

ようやく最後の専修生が10回を数え終わって、

受身が終わったと思いきや、

先生が2週目をさせたのです。

 

つまり、受け身合計500回。

 

250回で終わると思っていた専修生は、

250ちょっとで、ついていくことはできませんでした。

 

最初から、2週、3週するんだろうな!って

思っていた人は、見事2週500回をやり遂げたのです。

 

つまりどういうことかというと、

限界は自分が決めているということ。

 

腕立てを50回するとします。

100回すると思って、50回をするのと、

30回すると思って、50回するのでは、

同じ50回でも後者の50回の方が

きつくなるのです。

 

そのため、合気道の子供たちには、

回数を告げず、限界を超えるような

回数を課すことが多いです。

 

その稽古に慣れているような子は、

一切、文句を言わず淡々と回数をこなします。

あと、何回するのかな?とか考えていません。

考えたらついてこれないからです。

 

限界を決めず、必死について来れる子は、

どんどん伸びていきます。

 

先日の稽古でびっくりしたことがあります。

今日のメンバーを考えると、

このくらいの回数かなと、判断しているのですが、

普段毎回来ている子たちが、

その回数では物足りなかったらしく、

自分たちで休憩時間に続きをしだしたのです。

 

今日の回数、楽だったから、

あと50回やるのだとか。(笑)

 

感動しましたね(^^♪

 

また、生徒の親からこのような話も聞きました。

その子は運動神経が、あまりよくない子。

体育でも良い成績ではなかったようです。

 

しかし、ある時、反復横跳びを

学校で行い、学年で1位をとりました。

 

小学校では測定で30秒反復横跳びを行い、

何回できるかを図りますが、

道場では、60秒行う訓練を行っていました。

 

20秒当たりで、どの子どももスピードが落ちます。

そこで、指導者として、名前を呼んで必死に応援し、

出来る限り言われた時間60秒を全力で出来るようコーチングしました。

 

その結果が出たようです。

 

その子は反復横跳びに関して、自信が付いたようで、

別の運動も必死に取り組むようになったそうです。

 

 以上、私が合気道を指導する上で、

行っていることです。

 

ちなみに、瞬発性や体幹を鍛える訓練は、

指導者の私も行っています。

 

合気道の指導者は、学校の先生とは違うんです。

 

だって、自分でも分からないことを教えるわけですから。

そのため、大人の稽古はもちろん、

子どもの稽古でも生徒と一緒に成長できるように、

子どもの生命力に負けないように、

稽古を行っています。

 

 

 

*1:※専修生とは、

警視庁と海外や国内から合気道の指導者になりたい人が

 

行う合気道の訓練生のこと。

 

1年間、週5日、勤務時間ずっと厳しい合気道をし続けます。