前回のブログの続き。
宮本武蔵は五輪書で、基礎の大切さを説いている。
その基礎の大切さを
・「心持」心の持ち方
・「兵法の身なり」姿勢
・「目付」目線
の観点から詳しく論じている。
今回は、2つ目
「兵法の身なり」と合気道の関連性について述べたいと思う。
これは、身体の構え方、姿勢について述べていて、
足の先から頭までどのようにしたら良いか詳しく述べている。
(原文)
身のかかり、顔はうつむかず、仰のかず、かたむかず、
ひずまず、目をみださず、額にしわをよせず、
眉あいに皺をよせて目の玉動かざるやうにして、
瞬きをせぬやうにおもひて、目を少しすくめるやうにして、
うらやかに見るるかを、鼻すじ直にして、
少しおとがいを出す心なり。
首は後ろの筋を直に、うなじに力を入て、
肩より惣身はひとしく覚え、両の肩をさげ、
脊筋をろくに、尻をいださず、膝より足の先まで力を入て、腰の屈まざる様に腹をはり、楔をしむると云て、脇差の鞘に腹をもたせ、帯のくつろがざるやうに、くさびをしむると云ふ教へあり。総て兵法の身におゐて、常の身を兵法の身とし、兵法の身を常の身とすること肝要なり。よくゝゝ吟味すべし。
(現代語訳)
敵と向かう時、顔は俯かせず、上げ過ぎず、斜めにせず、歪ませず、目をきょろきょろさせず、顔をしかめず、眉に力を入れて目玉を動かさず、瞬きを抑えて、遠くを見るような目で、落ち着いて眺め、鼻筋を通す様に真っ直ぐ立ち、少し顎を出す感じにする。
首筋を伸ばし、うなじに力を入れ、肩から全身に気を回し、両肩は自然に垂らし、背筋をぴんとし、尻を突き出さずに、膝から下に力を充実させ、腰が屈まないように腹に力を入れ、クサビを絞めると言われるところの脇差しの鞘に腹を押しつける感じで、帯が緩まないようにするという古来の教えに従え。
全てに於いて、兵法をやるからにはこの姿勢を常に保つことが大事だ。よく考えて工夫すべし。
塩田剛三先生の構えの姿勢で、
初心者だけでなく、
黒帯もなかなか意識できないことは、
首筋を伸ばし、うなじに力を入れること。
構えた時に
指をピンとはり、
上の手の中指から気を出すかのようにはって、
その気が地球一周して、
自分の首に戻ってくるように首もピンと張れ!と
塩田剛三先生は、述べていた。
来る日も来る日も「臂力の養成」(基本動作の1つ)の練習をしていた内弟子が、
ある時、「臂力の養成」が出来たと感じた。
深夜に別の内弟子を起こし、
両手で力強くもってもらい、
臂力の養成を試した。
簡単に相手を崩すことができた。
その時はだれを相手にしても、
技が効き、合気道を会得したと感じた。
その日、塩田剛三先生に技を見てもらった。
しかし、さらに高段の受けを相手に技が効かなかった。
塩田剛三先生が一言。
「首がだめだ。。。」
首は意識しないと、
なかなか、ピンと張れない。
普段、技をひたすら行っても、
ある程度までしか行かず、
技で首も使えるようにならないと、
塩田剛三先生の境地には一生たどり着かない。
宮本武蔵はすべてを知っていた。
普段意識していないところも、
意識して鍛錬する。
達人になるには、
相当険しい道のりなのだ。