塩田 将大 Aiki Peace Seeker -合気道家-

★塩田剛三の孫が伝える【心】を豊かにする合気道★

合気道の達人に近づくために、鍛えなくてはいけない身体の部分はどこ?

f:id:Aikiboy:20200302173533j:plain

合気道はどこを鍛えなくてはいけないのだろうか?

 

塩田剛三先生の合気道には、

基本動作が6つあります。

 

最初は一人で、

基本動作を行い、

安定してきたら、

相手と一緒に行います。

 

基本動作はこんな感じです。

➡体の変更(一)


【9級】臂力の養成(一) / 正面

 

 


【9級】臂力の養成(二) / 横

 

塩田剛三先生は、

この基本動作で行う、

重心の変化が重要だと述べています。

 

合気道は力で行う技ではありません。

なぜ、威力が発揮するかというと、

肩から手までの筋肉を使うのではなく、

下半身を使うからです。

 

だから、合気道は小さい方でも、

相手を崩すことが出来るのです。

 

以下、塩田剛三先生が、

合気道の重心の重要さについて述べた文章です。

 

今まで述べた1から3の合気道の基本は、

いわば常に見失ってはならない合気道の心構え、

あるいは比喩的にいえば、

心の重心と言えるかもしれませんが、

それに対し、ここで述べる体の重心は合気道の技の

効果を最大にする体勢の基本になるものです。

 

今まで述べた、1から3というのは、

1.素直な心 2.動中に静を持す 3.対すれば相和す

のことです。

以前、ブログで書いたのでこちらを参考にしてください。

(1)素直な心

 

(2)動中に静を持す

 

 

(3)対すれば相和す

 

 

 

 

体の重心は足の指先から膝、腰、体が一体となり、

真直な一線となってつながり、

あたかも大木が地上に根を張った形がとられたとき、

最も安定するのです。

 

膝、腰、体がばらばらだと、

強い姿勢で踏ん張って構えている相手を動かせません。

つま先が動き、その動きが腰や手にも伝われば、

いとも簡単に相手を崩すことが出来ます。

 

 

 

 

 

 

 

この重心の安定は後に述べる呼吸力とともに、

力の集中を強大にする重要な要素の一つです。

もとより、技をかける、体を移動するなど頻繁に、

しかも速やかに体を動かします。

そこで大切なのは、

どのように動いても、

それに応じて、重心も当然移動させなければなりません。

そのときどのように重心が移動しても、

その重心は動きにつれて常に最も安定した形を

保っていなければ、強い力は発揮できないのです。

あと、これもよく子どもから質問されることが、

多いんですが、

「なんで合気道は蹴りがないの?」って。

 

子どもは空手とか、戦隊モノを見てるから、

蹴りに憧れるんですよね(笑)

 

合気道に蹴りがない理由は、

蹴りをしている間、身体が不安定だからです。

 

塩田剛三が言うように、

合気道は技を掛ける時も、

常に安定した姿勢でないといけないのです。

 

 

 

しかし、これがなかなかむずかしいのです。

構えをとっているときは一応重心が安定していたとしても、

次に動いた瞬間、一本の線が崩れ、

重心がばらばらになったり、

浮き上がったりしがちです。

これには相当の研究と熟練が必要です。

たとえばよくお互いに、二ヶ条という技をかけ

合っても熟練してくるとなかなか利かなくなるの

を見かけます。

 

それをよく見ていますと、相手の

力の流れと自分の力の流れがどこかでぶつかり合

ってしまっているか、

重心が乱れて浮いてしまっているか、

あるいはその両方の場合がほとんどです。

 

黒帯の相手の手首は強いんです。

力を入れると、どうしても、相手の強く絶えれる位置を

攻めてしまいます。

自分の肩の力を抜いて、

つま先・腰から発する力を、

指先まで伝わるようにします。

 

 

つまり、今まで述べてきた、

基本の心がバランスよく保たれていないからです。

 

「ボクシングを見ていても、

手先だけで相手を打ってもパンチは利かず、

いわゆる腰が入ったときのパンチが利くのは、

やはりこの重心の問題といえましょう。

 

たとえ重心が安定していても、

相手の力の流れをよくとらえて、

それに自分の力を合わせないと技の効果は半減します。

 

また相手の力の流れは、

各人各様のところがありますから、

それを見抜いて対処することが相手を制する道なのです。

 

これは相当の熟練者でもなかなかむずかしいのは事実です。

絶えざる日頃の研究と訓練によって、

皮膚で体で知る以外には方法がないと言えましょう。

 

塩田剛三著「合気道人生」より 

 

 合気道で袴を履く理由は、

足の動きを相手に見せないためでした。

 

つまり、足に合気道の秘密が隠されているってことですよね。

 

小さい者が大きい相手や、

より力のある相手を崩すことが出来るのは、

足の力を使い、重心を変えているからです。

 

そのため、基本動作を繰り返し行い、

ぶれない軸を作ることが重要です。

 

ただ、それだけでは相手を崩せません。

 

相手にもたれているところ、

例えば下の動画でいえば、手首、肘、肩など、

いろいろなところを持たれています。

 

その持たれているところに、

足を含めた身体全体の力を伝えなくてはいけません。

 

つま先に力を入れて、

それが、ふくらはぎ、もも、腰、背中を通って、

肩、肘、手まで伝わらないといけません。

 

そのためには、余分な力を抜かないと、

難しいです。

もちろん、ただ力を抜くのではなく、

力を抜いても軸は保たないと効果はないです。

 

塩田剛三先生は、指の先まで、

全身の力を伝えることが出来ました。

 

ここまで出来ないと、

塩田剛三のよく見られている動画、

下の1:33秒の、指でつくことなんて出来る訳がないんです。


塩田剛三/合気道養神館